アイドル短歌まとめ 2004-05
指先でなぞる未来を分かち合い僕らはきっと永遠になる
始まれば終わる 命もパレードも 最中によぎる僕だった僕 知念侑李
知念くんはどこか俯瞰で物を観ているような気がします。
明日は晴れ時々くもりのち雨は傘を持たない僕へとそそぐ 加藤シゲアキ
整えたシーツの海に砂こぼしきみはどこにもパラソルをさす 髙木雄也
髙木くんと海とその無邪気さを想像した歌です。
会えない時間が愛を育てるのよ 8畳満たす涙に潜る
常温で欲して多湿高温は避けて適度に視線ください 伊野尾慧
いのちゃんはなんとなく、いつも一定の温度を保っているイメージがあります。
噛み締めた砂はざらめのように溶けその味アテに酒を呑む夜 村上信五
約束を交わすのなんか簡単で守るに足らぬ私となんか
かみさまが君をやさしく寝かしつけ撫ぜた証は朝の寝ぐせに 有岡大貴
#NEGUShare
肉の裂き方も忘れてほほえんだヒトにちらつく野性のなごり 薮宏太
薮くんの犬歯はいいぞと思って詠んだ歌です。
ぶつかって散る星たちの瞬きを抱きしめて立つ薄ら氷の上
デビューについて。デビューというスタートに立つまでに、いろいろ失ったものや分かれてしまったものとか、そういうかけがえのない大切なもののかけらを抱きしめて、それでもなお立っているのは、固い安全な地面じゃなくて、その下は冷たい水みたいな薄い薄い氷の上で、そんな場所で何も怖くない顔をして笑っていてくれているんだろうなと思います。
ろうそくの炎はゆれる穏やかに加減を知らぬ愛を燃やして 小山慶一郎
恐ろしい夢を見たって朝は来て涙の意味も笑えたりする 横山裕
花弁に夢を託すなちぎるなら「好き、好き、好き」で殺してやれよ 山田涼介
思い出すものは朧に聴いた歌いつかどこかで見たはずの虹
終わらない夢を目指して繕った今がこんなにいとしいなんて
くたくたになるまでずっと煮込んでも伝えたいのは結局愛で
乱反射して胸を刺す幾つもの光は俺を生かしたいのか
例えばの話、地球が終わるなら 考えながら玉ねぎを切る
大好きでいたいこの日も街も絵もあの人も夜も解けた魔法も
よく聴いた曲を小さく口ずさみながら歩けば箱庭は夏
幸せであれ 太陽の光とか愛にまみれてしあわせであれ
大倉くんのお誕生日によせて。最後の「し」の歌が気に入ってます。
堰を切る涙はいつも当て所なく蒸発してはまた雲になる
本音と建前、苦と楽、都民税、全部おんなじ皮膚で包んで
行き先も見ず来た地下鉄飛び乗って君が見えないとこへ行きたい
垂直に生きていけない世界線そこにたたずむ君は点P
食べてしまいたい 知り得る限界を超えたところにきっとある顔
終電と始発の間眠らない街のどこかであなたが眠る
上の6つのものは、やっぱり自分とアイドルが同じ人間だとは思えないし、生活が交わることはきっとないし、知らないことも山ほどあるし、あ〜こんなこと思うなら存在を知らないままで生きていたかったなと思って読んだ歌です。