アイドル短歌まとめ 1902-03
泣くという機微を揺さぶり起こす歌 幾億眠る地底の化石 / 薮宏太
ありふれた生き物だから目と肺とさみしさ持って生まれて死ぬよ / 丸山隆平
アイドルってなんだか「特別な生物」として捉えてしまいがちなんですが、当然彼らも同じ人間であるはずで、その中でも丸ちゃんは自分の感覚に近い所にいる気が勝手にしています。自分だって同じ造りをした身体で、同じ結末を辿って生きているんだよ、辿る道が違うだけでね、という感じ。終わるということは誰であれすべからく同じだという歌です。
嘘ついてごめん パジャマのズボン裾めくれて冷たい脚がからまる / 錦戸亮
亮ちゃんは嘘をついたときの繕いが甘そうだな、そうだったらかわいいなという妄想です。
びっくり箱自分で開けて誰よりも大きな声を出したのは僕! / 小島健
うるさいくらいがちょうどいいシュガーベイビーこじけん、ラブ。
あの夢とこの現実は陸続き潮が満ちたらたどり着ける火 / 関ジャニ∞
選ばなかった夢も、選んだ現実も、逸れた瞳も合流した道も、全てがあった上での今であって、いつかはそれらすべてが薪となって灯すうつくしい火を観ることができればと願いすがる歌です。
いくらでも肥えたらいいよチョコレート小さいやつも100枚あるし / 濱田崇裕
濱ちゃんはまるっと受け入れて飲み込んでくれちゃいそうという甘え。
アルミ缶飲んで潰して3本目ICOCAを栞代わりに挟む夜 / 村上信五
ICOCAを挟むのは台本で、村上くんが持っているとしたらきっとSuicaで、ICOCAなんて持っていないだろうけれど、そういう無駄でもあるものを大切にして慈しんでいそうだなという歌です。
肌を刺す夏の日差しが嘘みたい波間に跳ねる穏やかな無垢 / 髙木雄也